2017年1月8日日曜日

年末は、諸行無常の響きあり

年末に久しぶりに美味しいピザが食べたくなって、カルチエ・ラタンの馴染みの店に向かったが見当たらない。1年以上は行っていないとはいえ「惚けて分からなくなった???」ということは絶対ありえないと、結局かなり大通りを歩いてしまった。気になって後で「検索」してみたらトリップアドバイサーに投稿があって、秋に新しいイタリアレストランとなったらしい、たしかにこぎれいにした店があった。
経験的に言ってピザのおいしい店は、壁にはナポリ湾とヴェスヴィオス火山などのイタリア風景がキッチュに、まるで日本の「風呂屋の富士山 」のごとく描かれているものだった。私もパリに着いた頃は、もう少しマトモな壁画にして欲しいなと思ったものだったが、そのうちにそれが「本物保証マーク」のように思えるようになって来て、、、。(勿論ひどい絵があるから美味しいとはまったく言えないのだが)

先日 FB経由でフランス人ジャーナリストの「原宿駅解体が示す日本的観光政策の大問題」という記事を読んだ。「日本らしい場所」に普通の日本人が価値を見いださないで改造してしまうということが書かれていたが、これはフランスでも起きていることで、パン屋さんが夏休みに工事していると思うと、昔ながらのタイルの壁がなくなり、日本のデパートか地下街のようなパン屋に生まれ変わる。同じようにチェーン店とその標準化されたショーウインドウのお陰で地方都市を歩く魅力がめっきり減ったことは以前にも書いた。

経営者が改装を決意する以上その方がよほど集客力があるに違いない。それに「お父さん、これじゃ商売にならないよ」と息子が親に言っている姿が目に浮かぶ。おそらく現代パリに仕事に集まるビジネスマン世代にとっては昔ながらの「ピザ屋の看板画」は「ださい」以外の意味を持たないのだろう。確かに12月最初のグループ展の後に行ったピザ屋もメニルモンタンという庶民地区にありながら内装はパブみたいで、若い人でものすごく賑わっていた。あーあ、いくら長年住んでも「パリジャン」にはなれない私だが、そのパリがどんどん変わって行く。この寂しさは何と表現したら良いのだろう。

いえいえ、でも私は希望を完全に捨てていません。日本と違ってこの国の改装工事は石膏ボードの壁をポンポンと立てて、多分古い壁をわざわざ壊すなどということまではしていないだろう。だから今の「機能的な店構え」の凡庸さに辟易としたあかつきには壁が壊され、「ヴェスヴィオス火山再登場!」なんてことは、、、やっぱりないかな?

年末になくなったものでショックだったのは、ピザ店以上に私の古いサイト!!! 「アルプスのちょっと良い話(不思議なえにし)」から他の写真を見せる為に飛んだところ「11月21日以来このページは閉鎖されました」と表示された。所有者の私にはプロバイダーから春に連絡があったことになっているが、受け取った記憶なし。多分「迷惑メール」として消えてしまったのだと思う。今の活動は新しいサイトで見てもらえるけど突然ウェブから「閲覧可能資料」がなくなったのはつらい。作り直すのかな〜?

フェースブックで、亡くなった人のページがあり続けるのが問題になっていたので、ディジタルデータは「雲の上」で永遠に存続し続けるのだとタカを括っていたら、人間の手のにる物、やはり諸行無常すね〜。

追記:典型的なピザ屋の壁絵を載せようとインターネットで探したが出て来なかった。時流に疎い私、ひょっとしたらあの店が最後の砦だったのかもと思わないでもない。という次第で写真はノスタルジックに、私が零歳当時のソフィア・ローレン(Photo:Raoul Fornezza)


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