2014年9月1日月曜日

南仏美術観光(マチスの礼拝堂 と マーグ財団)

今回の南仏の旅で文字通りの「美術観光」はマチスのロザリオの礼拝堂 マーグ財団。それぞれヴァンス村 Vence と少し下のサン・ポール・ド・ヴァンス村 Saint Paul de Vence にある。

マチスはヴァンス村で療養をしたとき「若く美しき看護婦」を募ったところ、当時21歳の美術好きなモニック・ブルジョワ嬢が応募して来た。彼女は献身的介護で画家との友好を深め、画家のモデルにもなった。それは戦前のこと。そして戦後マチスが彼女と再会したときは彼女はドミニク修道会のシスターとなっており、礼拝堂を作ろうとしていたというのがお話の始まり。老齢のマチスは「最後の作品」として4年間この仕事のみに没頭、1951年に完成した。病身のため落成式に立ち会えなかったマチスは「美しさではなく真実を求めました … これは画家生涯の結果です。不完全さはありますが、マスターピースと思っています」と書き送った。ドラマですね〜 お話好きの方は次のサイトをご参考に

その結果はたどたどしいとも思える線描きの白黒デッサンに、晩年の切り紙スタイルの緑青黄の三色の ステンドグラスのピュアな世界。白いタイルにステンドグラスで色付いた光があたる。赤いグラスはないのに緑と赤のグラスがピンクの光も生む。他にも祭壇、ランプ、扉などすべてデザインした。ネットで写真はご覧あれ(掲載の写真もここからです)


本では何度も目にしたことがあるこのシャペル、晩年の「簡単デッサン?」としてさして興味を持っていなかったが、スケールと光の効果で現場に行ってみると全然印象が違った。 特に「ゴルゴダへの道」は素晴らい。それから私が葉っぱだと思っていた「ふにゃふにゃモチーフ」をガイドさんはサボテンだと言っていたが、サイトで今見る限りはそうした記述はないが???(確かに葉にしては緑でなくて黄色だ)。

開館時間に制限があるので近くに住みながら初めてだったP君、いたく感動しつつもデザイナーの職業柄ながらの疑問をすぐに抱いた:床が完璧すぎる。確かに壁のタイルは大きさが少しまちまちだったり間隔にずれがあるのに、床は寸分の狂いもなくぴったり張られている。ナイーブとも言える謙虚な空間の中で違和感がある。飾ってあった「礼拝堂でのマチス」の写真では今の真っ白なタイルはまだない。ひょっとしたら床はマチスのコンセプトではないのではというのが彼の説得力ある仮説だが、、、ガイドさんはその質問に怯むことはなかった。

礼拝堂のあとは開館50周年の「作品を前に(Face à l'oeuvre)」と題する記念展をするマーグ財団 。入り口近くの、私は普通好きでない、シャガールもブラックも、もう少しマイナーではタルコアトも良かったし、ベストコレクションの展示の感がある。スタイルの関連性で並べられた展示もうまくなされていた。これも有名な美術館なので解説は私がしなくてもいいでしょう。省きます。

シャガールに続いてボナール
タルコアトTal CoatとウバックUnak
お馴染みミロの可愛い彫刻などが庭に常設

サン・ポール・ド・ヴァンスの街は画廊が集まっていることでも有名なのですが、P君の曰く「素晴らしい作品を見た後に行ったら失望するだけだから行かない方がいい」ということで、連れてもらえませんでした(勿論私は異論ありません)。

マチスの礼拝堂は開館日時間を気をつけて: Chapelle du Rosaire
マーグ財団の50周年展は11月11日まで: Fondation Maeght

ところで記念展では5月に書いたカルチエ財団、やはり展示内容は順繰りに変わっているようです。文句を書いたサイトも見やすくなっていました(もうすぐ終わりですけど)

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